「写真加工は女々しい、、、!!」
「写真を絵にしてしまったらそれは写真じゃない」
私の中から”彼”の声が聞こえるんです。
この時代に偏ってる考えですよね(笑
私が写真を始めたのは15年以上も前になるのですが、
この考え方がいまだに頭のどこかにあるんです。
ただその一方で時代は進みます。
アプリ加工やAIまで出てきた現代に
そんな思いに囚われていては、時代において行かれてしまう。
だから決して声に従ったまま、新しい技術を遠ざけているわけではなく、
PHOTOSHOP合成、レタッチ技術だろうが、絵の書き方、美術について全て勉強してます。
さらに今年からは3Dの学校にすら通って新しい表現に挑戦してます。
それでもです。。。なぜかこの声は降ってきます。
「合成とか加工のやりすぎはだめ。写真じゃなくなる」
なんなんでしょうね(笑
多分、”彼”の言っていることは
” その場にいなくても作り出せてしまうのであれば、それは写真じゃなくてもいいだう。
なかったものを付け足したり、雰囲気を損なう編集をすれば、それはもう写真じゃない。
カメラを握っている意味がない。ずるいことはしたくない。”
”正々堂々として刀の戦の時代に、鉄砲は美しくない”
とかいう武士道的あれですね(笑
写真技術で競うところを、デジタル技術で補ってしまうというのは
まさしく正々堂々じゃない!!カッコ悪い!!
という彼と共存しているんだと、この歳になって冷静に考えると思うわけです(笑
そう、これは
” いまだに私の中にいるカメラを始めた頃の私の声。”
拭いされないままプロ活動も10年目です。
結局この声に導かれるままに、
仕事の撮影においても作品撮影でも、
撮影の段階で8、9割の完成度で仕上げてしまっています。
残りはLightroomの基本補正のみ、
ほとんどの場合Photoshopでレイヤーすら使いません。
よかったんだか悪かったんだか(笑
そんな変なこだわりを貫いてる中獲得してしまったのが、
WPC2024写真のワールドカップ
日本人トップフォトグラファーの称号 ”BEST OF NATION”
そして
WORLD TOP 10 入りの成績です。
今回出した作品は一頭の子クジラの写真。
加工についてはPhotoshopでレイヤー1枚歪みを整えただけ、
あとはLightroomの明るさや色などの基本補正です。
国際的に見て、今のフォトグラファーで主流の考えはこれです。
” 加工だろうが合成だろうが、使える手段を全て使って最高に写真を美しく仕上げる”
そんなかで”彼”はそれをカッコ悪いとか言ってるわけですね(笑
ただ、彼のこだわりはこだわりを貫き、
そんな選手たちの中で勝ち上がって
揺るがない成績を残せたわけです。
なんというか、、、
私自身日が経つにつれて実感が増してきました。
心がほっこりするというか、嬉しいんですよね。
そうするとなんなんでしょうね?
合成や3Dの技術など、学習してきた新しい分野に対して、
「もっと写真にそれらを取り入れてもいいんじゃないか?」
って許しの声が聞こえてくるわけです。
多分、彼は証明したかったんだと思うんです。
自分の変なこだわりが日本のフォトグラファーを相手に、
そして世界のフォトグラファーを相手にどこまで通用するかを。
そして証明したかったんだと思います。
実は写真の日本代表は今年で3回目ですが、
それでも彼は満足しなかったんです。
ただ、
今回日本一のフォトグラファーの称号がその枷を外したようです。
今回出した作品がこれです。
まさしく写真技術のみで構成されていると言っていいと思います。
合成など一つもありません。
このシャッターチャンスも、
重い機材を持った素潜りも、
クジラと相対した時の揺るがないマインドセットも、
全て磨き上げて、写真を撮影するという
現場でのプロセスの中で獲得しました。
加工屋ではない。レタッチャーでも、グラフィッカーでもない。
写真家としての勝利を実感できたんだと思います。
なので、この受賞をきっかけに
自分の中のいる”写真を始めた頃の私”との関係にひとつの区切りがつきいたんでしょうね。
彼は本当に頑固で、
まっすぐで、どこかひねくれてて、写真をグラフィックや合成にしたがりません。
ただ、そのこだわりのまま私を今まで引っ張ってくれてました。
彼は ’’写真を写真のままでいさせたかった’’、、、、
いや、詰まるところその考えを根幹に据えつつも、
”自分が思う写真というものを世界に認めさせたかった”
これだったんでしょうね。
そんな偏ったこだわりを貫きながら、葛藤しながら駆け抜けた10年間。
今になって彼がどこか微笑んでいる気がするんです。
なんか、彼を救ってあげれたのかなと、
心の中でどこか一人の親のように嬉しい気持ちが込み上げてきました。
ただ、彼との道なりで手にした撮影技術はこれからも一本の道として歩み続けます。
ただ、これからはより幅広い表現も積極的に受け入れまして、
3Dや合成、せめてphotoshopのレイヤーくらいは積極的に使って
自分なりの世界を広げてい期待なと前向きな気持ちでおります。
あくまで自分の心の羅針盤が指し示す方へ。
写真家道を歩んでいきます。
- エピローグ -
こんなことを書いている傍ら4歳の娘に言われました。
「 パパ、今度は世界一になってね」
もう一人の私の分身 ”彼女”は、
まだまだ私を許してくれないようです(笑
とりあえず4月を待ちなさい(笑
人生は長い。
旅は続きます。
2024.3.26
フォトグラファー
右近倫太郎